スズキ図書館

最近読んだ本の内容を紹介する書評ブログです。ビジネス書が中心です。これから皆様が読む本を選ぶ際の参考になれば幸いです。

【書評】「オンライン研修ハンドブック 」中村文子、ボブ・パイク (著)

こんばんは、スズキです。
今日は「オンライン研修ハンドブック中村文子、ボブ・パイク (著)を紹介します。

概要

 2020年3月以降、多くの組織や学校で研修・授業のオンライン化が一気に広がった中で「コロナ禍で何とかその場しのぎで対応してきたものの、学習として本当に効果的な方法なのか?」といった疑念を抱いている方は少なくないと思います。突然に広がった日本のオンライン研修は「とりあえずオンラインで実施する」ステップから「効果・質を高める」ステップに移りつつあります。
 質の高いオンライン研修はどのように行えば良いのか?オンライン研修の効果を高めるためには、一体何が必要なのか?本書では、アメリカで豊富なオンライン研修の実績をもつボブ・パイク氏の「参加者主体の研修手法」をもとに、参加者が主体的に学び、行動変容を促すために欠かせない「インストラクショナルデザイン」「ファシリテーション」「運営・デリバリー」の理論と実践法を紹介した一冊です。

著者

Amazonより引用】

・中村 文子。ダイナミック・ヒューマンキャピタル株式会社 代表取締役。ボブ・パイク・グループ認定マスタートレーナー。神戸市外国語大学を卒業。P&G、ヒルトンホテルにて人材・組織開発を担当後、2005年にダイナミック・ヒューマンキャピタルを設立。クライアントは、製薬、電機メーカー、保険・金融、ホテル、販売・サービス業、さらには大学・学校と多岐にわたる。「世の中から、退屈で身にならない研修を減らす」ことをミッションに、講師・インストラクター・社内講師養成、研修内製化支援に注力。教育制度構築、階層別研修、コミュニケーションスキル研修などの分野でも活動中。著書に『講師・インストラクターハンドブック』『研修デザインハンドブック』『研修アクティビティハンドブック』『研修ファシリテーションハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)、「Super Closers, Openers, Revisiters, Energizers vol.3」(共著、Creative Training Productions LLC)
・ボブ・パイク。ボブ・パイクグループ創設者・元会長。「参加者主体」の研修手法についての著書『クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック 第3版』(日本能率協会マネジメントセンター、現「Master Trainer Handbook」)は講師養成分野でのベストセラー。他にも20冊以上の著作をもつ。「参加者主体」の研修手法は全世界30ヶ国で12万人以上が受講している。アメリカで優れたスピーカーに与えられる称号CSP(Certified Speaking Professional)をもち、人材開発の世界的機関ATD(Association for Talent Development)ではレジェンダリー・スピーカーとして称えられている。人材開発、講師養成の分野で50年以上の経験をもち、2007年には、人材育成分野でもっとも影響を与えたリーダーに贈られる賞を受賞している。

私の学び

「時間配分をどうするのか」「研修コンテンツをどのように組み立てていけば良いのか」「参加者のビデオはオンにするべきなのか」「オンライン学習でのグループワークはどのように運営すればいいか」「オンライン疲れを防いで集中力を保ってもらうにはどうすればいいか」などの素朴な疑問についてアイディアがまとめられており、オンラインで教育や研修、ウェビナーを担当、主催する方にとっては、非常に参考になるTIPSと感じました(本当にそうか?と思えるモノも一部ありましたが)。

【本書より引用】

・小グループに分かれてアクティビティやディスカッションを行う際は、開始前に事前に推進主体となるリーダー役を決めておくとグループで会話が始めやすくなる。例えば決め方についても、「一番最近宅配で何かを受け取った人」のようにランダムに、かつアイスブレイクも兼ねるられるように決めさせるのが好ましい。最適な人数は3~4人。
・研修はイベントではなくプロセスである。集まって学んでいる同期時間だけではなく、集まる前、解散した後などの非同期の時間も含めたプロセスとしてデザインすることが重要である。非同期学習、同期学習(オンライン)、同期学習(対面)を適切に組み合わせるブレンデッドラーニングにおいては、研修の目的から鑑みて最適な組み合わせを検討すべきである。
・参加者主体の研修においては、Experience(経験)、Awareness(気づき)、Theory(理論)の要素をちりばめて設計する。

【本書の目次】
第1章 学習効果を高めるオンライン研修とは
1-1 オンライン研修に関するよくある誤解
1-2 応急措置
1-3 効果的なオンライン研修の基本

第2章 参加者主体のオンライン研修の基本原則
2-1 大切なのは講師ではなく参加者
2-2 伝えたからと言って、相手が学んだとは限らない
2-3 研修の目的は「結果」を出すこと
2-4 プロセスとして「研修」を設計する
2-5 インストラクショナルデザインの重要性

第3章 参加者主体のオンライン研修をデザインする
3-1 学習の法則
3-2 時間配分ーー「90/20/4」の法則
3-3 研修の構成ーーCSR:コンテンツ・参画・リビジット
3-4 研修の構成順序ーーEAT:経験・気づき・理論
3-5 参加者が主体的で安心して学べる学習環境をつくる
3-6 学習スタイル
3-7 記憶のメカニズム
3-8 アクティビティをデザインするーーCORE:クロージング・オープニング・リビジット・エナジャイザー
3-9 研修デザインのステップと作成例

第4章 参加者主体のオンライン研修のファシリテーション
4-1 なぜファシリテーションが必要なのか
4-2 オンライン研修でのファシリテーションの特徴
4-3 適切な人数を設定する
4-4 アクティビティの効果的な進め方
4-5 アクティビティのインストラクション
4-6 問いかけ・質疑応答
4-7 プロデューサーの役割

第5章 困った場面とその対処法
5-1 困った場面とその対処法