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最近読んだ本の内容を紹介する書評ブログです。ビジネス書が中心です。これから皆様が読む本を選ぶ際の参考になれば幸いです。

【書評】「マンガ 経営戦略全史 革新篇」三谷宏治 (著)

こんばんは、スズキです。
今日は「マンガ 経営戦略全史 革新篇三谷宏治 (著)を紹介します。

概要

 2014年のビジネス書大賞に選ばれた原作「経営戦略全史」をマンガ化。経営戦略論にかかわる約50人の歩みを通して、経営戦略論がどのように進化してきたかの歴史を楽しく理解できる一冊です。本書「革新篇」は「確立篇」につづく第2弾。21世紀にはいって経済、経営環境、技術革新のペースが著しく早まり、従来のポジショニング、ケイパビリティ戦略があっという間に陳腐化する時代となりました。そこで出てきたのがアダプティブ主義、要は「やってみないとわからない、さっさと試行錯誤しよう」です。前作の歴史の流れを受けつつ、21世紀の経営戦略論を物語として楽しめる一冊だと思います。

著者

Amazonより引用】
三谷宏治。K.I.T. (金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授。早稲田大学ビジネススクールグロービス経営大学院女子栄養大学客員教授。1964 年大阪生まれ、福井育ち。東京大学理学部物理学科卒業、INSEAD MBA修了。BCG勤務ののち、アクセンチュア勤務。03 ~ 06年にはアクセンチュア戦略グループの統括を務める。現在、社会人教育の他、小中高校・大学で子ども・保護者・教員向け教育を中心に活動中。放課後NPO アフタースクール・NPO 法人3keys 理事、永平寺ふるさと大使。著書に、『CRM 』(共著)『観想力』(東洋経済新報社)、『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)『「ハカる」力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『戦略読書』(ダイヤモンド社)『お手伝い至上主義でいこう! 』(プレジデント社)などがある。

私の学び

・前作「確立篇」とおなじく、経営戦略の様々な論が歴史の中でどのように発展してきたのか、関連づけて学べる有意義な一冊だと思います。20世紀までの論がケイパビリティ派とポジショニング派の戦い、いわゆる「人間的議論」と「定量的分析」の戦いが主であったのに対し、21世紀にはコンフィギュレーション戦略、ブルーオーシャン戦略、デザイン思考、リーンスタートアップ、破壊的イノベーション、データ民主主義など新たな論が次々と展開されてきました。100年近い経営戦略論の歴史がたどりついた最新の解のひとつが、机上の議論からの脱却した「高速試行錯誤」に尽きるのでしょう。

【本書より引用】
・「コンフィギュレーション戦略」
 ポジショニング重視か、ケイパビリティ重視か、そんなものに答えはない。場合によるのさ。発展期にはポジショニング重視、安定期にはケイパビリティを重視して強化し、適応期にはそれでしばらく回す。模索期にはラーニング論で方向性を探り、革命期にはアントレプレナー論で一気の変革を目指す。
・「破壊的イノベーション
 イノベイティブなリーダーに共通の思考・行動パターンとして、5つの基本的な発見力に優れている。それは①関連付ける力②質問力③観察力④ネットワーク力⑤実験力である。それは才能ではなく訓練によって鍛えられる。
・「データ民主主義」
 事前に話し合わずにやってみて結果で決めること。リンデンはお勧め機能がアマゾンに莫大な利益をもたらすことをA/Bテストで明らかにしたうえで反対意見を葬った。A/Bテストの結果の前には、身分や地位の上下関係もない。選択肢を出して作って試してみればいいのです。頭の固い上司の許可を得ることも、皆で事前に話し合って合意をとる必要もないのです。
・「デザイン思考」
 より良いデザインはユーザを中心とした試行錯誤からしか生まれない。論理思考より発想思考、机上の議論より試作と検証。MBAのB-schoolのアンチテーゼとして生まれたスタンフォード大学のd-schiool。
・「リーンスタートアップ
 顧客に価値がなく、成果が検証できないものはつくらせない。つくるのは検証に必要な最小限のもの(Minimum Viable Product)だけ。ビジョンは変えないまでも、それを実現するための戦略は柔軟に変えて構わない。いや、変えていかなくてはならない。