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最近読んだ本の内容を紹介する書評ブログです。ビジネス書が中心です。これから皆様が読む本を選ぶ際の参考になれば幸いです。

【書評】「ビジネスモデル・ナビゲーター」オリヴァー・ガスマン、カロリン・フランケンバーガー、ミハエラ・チック(著)

こんばんは、スズキです。
今日は「ビジネスモデル・ナビゲーター」オリヴァー・ガスマン、カロリン・フランケンバーガー、ミハエラ・チック(著)を紹介します。

概要

 ビジネスモデルとは「顧客・提供価値・オペレーション・収益モデル」で構成される事業メカニズムのことで、それを変更することによって競争優位性を確立することがビジネスモデルイノベーションです。

 過去50年間におけるビジネスモデルイノベーション事例を分析した結果、90パーセント以上が他の業界の既存のアイディアや概念の組み合わせに過ぎないことが分かったことから「模倣」の重要性を再認識し、本書ではビジネスモデルの55種類の勝ちパターンをイラスト付きで4~5ページ単位でまとめ、誰でも参照しやすいよう整理してくれています。ビジネスモデルのアイディアや概念の組み合わせを考え始める際の辞書として活用できる一冊です。

著者

【本書より引用】
・オリヴァー・ガスマン。スイス・ザンクトガレン大学上級教授、同大学技術経営研究所マネージング・ディレクター。博士号を取得後、シンドラー社ヴァイスプレジデントとして同社の研究活動を推進した。15冊の書籍出版、主要紙への300以上の寄稿実績のほか、現在は企業数社の取締役も務める。2014年には米ワシントンにて世界の主要なイノベーション学者として表彰されている。

・カロリン・フランケンバーガー。スイス・ザンクトガレン大学技術経営研究所助教授。BMI Lab社経営トップ。ザンクトレガン大学、ハーバード大学コネチカット大学での研究活動と博士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーコンサルタントとして数年にわたる活動経験を持つ。

・ミハエラ・チック。スイス。ホルシムテクノロジーイノベーションマネージャー。それ以前はBMI Kab社上級コンサルタント。ザンクトガレン大学デザイン研究センターのリサーチ・アソシエイトとして活躍。

私の学び

 イノベーションという言葉を最初に提唱したシュンペーターはその意味を「新結合」としましたが、その「新結合」をビジネスモデルの観点で考えやすくしてくれる字引のような書籍です。また本書ではその「新結合」を「模倣的創造」とも呼んでおり、車輪の再発明など無駄だと一蹴しています。

 クリエイティブなアイディア発想などの際にはついゼロから何かを生み出そうと思い込みがちですが、過去や歴史をパターンとして模倣することが凡人にも試行できるイノベーションへの近道なのだと思います。

【本書より引用】
・本書では、ビジネスモデルの表現方法として、顧客(who/自社の顧客対象はだれか)、提供価値(What/自社が顧客にもたらす価値はなにか)、提供手段(How/自社の製品やサービスをどのように提供するか)、収益モデル(Why/なぜ自社が儲かるのか)の4軸で価値創造と収益化の構造を定義することを推奨しており、この4軸のうち最低2軸以上を変更することをビジネスモデルイノベーションと定義している。


・新たなビジネスモデルの9割は、既存の55モデルに基づいており、まったく新しいモデルというわけではない。他業界のビジネスモデルを創造的に模倣することで、自社が業界のイノベーションリーダーになることができる。重要なのは、単にマネするのではなく、成功例を学び理解することである。


・ビジネスモデルのアイディアを評価し選定する際に、ベンチャーキャピタリストがよく利用するNABC手法(Needs[ニーズ]、Approach[取り組み方法]、Benefits[メリット]、Competition[競合])は非常に有用である。