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【書評】「実践 シナリオ・プランニング -確実性を「機会」に変える未来創造の技術-」新井 宏征 (著)

こんばんは、スズキです。
今日は「実践 シナリオ・プランニング -確実性を「機会」に変える未来創造の技術-」新井 宏征 (著)を紹介します。

概要

 パンデミックが永遠に続くかもしれないという可能性を前に「おしまいだ」と悲観的に捉えるでもなく、「そんなことになるはずない」と楽観的に捉えるでもなく、「そのような世界が現実のものになったとしたら」と客観的に考え、今からできる備えを検討するために使われる手法がシナリオプランニングです。明るい未来を創造するための手法であるシナリオプランニングの考え方・作り方から組織における具体的な取り組み方、使い方までを詳しく解説した一冊です。

著者

Amazonより引用】
・新井宏征。株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役。一般社団法人シナリオプランナー協会 代表理事東京外国語大学大学院修後、SAPジャパン、情報通信総合研究所(NTTグループ)を経て、現在はシナリオ・プランニングなどの手法を活用し、不確実な時代に社会や顧客に価値を届ける組織や事業をつくるためのコンサルティング活動に従事。Said Business School Oxford Scenarios Programmeにおいて、世界におけるシナリオ・プランニング指導の第一人者であるRafael Ramirezや、Shell Internationalでシナリオ・プランニングを推進してきたKees van der HeijdenやCho-Oon Khongらにシナリオ・プランニングの指導を受ける。その内容を理論的な基礎としながら、日本の組織文化や慣習にあわせた実践的なシナリオ・プランニング活用支援を行っている。資格として、英検1級、TOEIC 990点、PMP、SAP関連資格などを保有。主な訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『90日変革モデル』、『成功するイノベーションは何が違うのか?』(すべて翔泳社)などがある。

私の学び

 不確実な時代においてはPDCAよりOODAループが重要とはよく言われることですが、そのO(Observe)のために必要な枠組みを未来創造OSとし、本書では3つのRをその要素としています。「reframing(物事を見る枠組みの見直し)、reperception(自分が抱いている認識の見直し)、reflective iteration(内省を伴う繰り返し)」。

 未来創造OSを組み合わせることで、シナリオプランニングを単なる一担当者の成果物作成にとどめず、OODAループを繰り返す、また組織へ浸透させることにドライブがかかるのでしょう。
 また、ゼロからシナリオプランニングを実践しアウトプットを作り上げていく手法だけではなく、既存のシナリオを読み対話するところから始める未来創造ダイアローグなど、組織でかけられる労力や時間に応じた3段階の使い分けも紹介されており、実態にあわせて始めやすいところから着手できる点も非常に好感が持てました。

 社会の層、組織の層、個人の層と、問のピラミッドを段階的に移動していく未来創造ダイアローグは、組織の未来構想を社内に浸透させる目的でも活用できそうな枠組みと感じます。