スズキ図書館

最近読んだ本の内容を紹介する書評ブログです。ビジネス書が中心です。これから皆様が読む本を選ぶ際の参考になれば幸いです。

【書評】「101デザインメソッド ―― 革新的な製品・サービスを生む「アイデアの道具箱」」ヴィジェイ・クーマー (著)

こんばんは、スズキです。
今日は「101デザインメソッド ―― 革新的な製品・サービスを生む「アイデアの道具箱」」ヴィジェイ・クーマー (著)を紹介します。

概要

 アップルやグーグルといったGAFA企業が世界の注目の的となっているように「イノベーション」という言葉は至る所にあふれ、そして多くの企業がその実現を目指そうとしています。しかし、あっと驚くイノベーションがこれだけ人々の間で大きな関心ごととなっているにもかかわらず、再現性のある、かつ実現可能なイノベーションの実践術を心得た組織というのは非常に限られています。
 本書ではイノベーションの実現を妨げる「4つの思い込み」を確認しながら、どうすればイノベーションを実現できる組織になれるのか、イノベーションプロセスにおいて具体的に使われる101のメソッドを紹介しています。数多くのメソッドをどのシーンでどのような目的で使うと効果が発揮されるのか、その手法群の全体的な関係性、位置づけをまずつかみたい方にお勧めの一冊です。

著者

Amazonより引用】
・著者:ヴィジェイ・クーマー Vijay Kumar。イリノイ工科大学デザインスクール教授。同校でストラテジック・デザインプランニング、デザインメソッドのプログラムを担当。戦略イノベーションコンサルティング会社ダブリン社にて、12年間チーフ・メソドロジスト(手法開発責任者)を務めた。人間中心のイノベーションを考え出し、それを戦略計画するための体系的なメソッド、ツール、フレームワークを用いて、30年以上にわたり世界中で教育研修、出版、コンサルティング、講演などを行っている。コンサルティングを手がけた企業は、P&G、モトローラ、シェル、大伸社、スカンジナビア航空マクドナルド、ファイザーウェルズファーゴ、チュリッヒ、ターゲット、Tモバイル、オートデスク、SCジョンソン、ターゲットなど多数にのぼる。

・訳者:渡部典子 Noriko Watanabe。ビジネス書の翻訳、執筆、編集等に従事。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。研修サービス会社等を経て独立。翻訳書に『Personal MBA』(英治出版)、『ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義』(CCCメディアハウス)、『リバース・イノベーション』(ダイヤモンド社)、共著に『改訂3版 グロービスMBA マーケティング』(ダイヤモンド社)など。

私の学び

 本書は冒頭で「イノベーションは経営層と現場が協力して進めるべき活動であり、組織として測定可能、かつ科学的・体系的なプロセスに基づいて進めることができる」と、「選ばれた人間が偶発的に起こす活動である」といった一般的な思い込みを否定し、そのうえで体系的なプロセスとして4つの象限&7つの活動モードを定義しています。

 個別具体の手法の解説はすべて見開き1ページに収まっているため「もっと具体的なやり方を知りたい」という方には少々物足りないかもしれませんが、「概要をつかめば十分、キーワードベースに自分で試しながら使いこなしてみよう」と考える方にはちょうどいいボリュームでもあります。現在の自分が置かれている状況、抱えているもののステータスにあわせて、本書で興味を持った手法から手始めに試してみるのがよいのではないかと思います。

【本書より引用】
・デザイン・イノベーションのプロセスは、活動モードを通じて前後したり、「現実」と「抽象」、「理解する」と「つくる」の対立軸の間を揺れ動いたりする。このプロセスを2軸のマップで説明しよう。


・4象限の左下の「調査」は、現実について理解することだ。左上の「分析」は、現実に関する情報を抽象的な言葉で処理し、イノベーションを促すための役立つメンタルモデルを見つけ出そうとする。右上の統合では、分析のなかで得られた抽象モデルを、新しいコンセプトを考え出すための土台としていく。そして右下の「実現」は、コンセプトを実行可能な製品・サービスにする。調査、分析、統合、実現の4つがすべて組み合わさると、きちんとした形のプロセス・モデルとなり、組織内のイノベーションが促進される


・このフレームワーク内に、デザイン・イノベーションの活動モードが7つある。「目的を見出す」「コンテクスト知る」「人々を知る」「インサイトをまとめる」「コンセプトを探求する」「解決策を練る」「製品・サービスを実現する」である。