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最近読んだ本の内容を紹介する書評ブログです。ビジネス書が中心です。これから皆様が読む本を選ぶ際の参考になれば幸いです。

【書評】「DXナビゲーター(コア事業の「強化」と「破壊」を両立する実践ガイド)」カロリン・フランケンバーガー (著), ハナ・メイヤー (著), アンドレアス・ライター (著), マーカス・シュミット (著)

こんばんは、スズキです。
今日は「DXナビゲーター(コア事業の「強化」と「破壊」を両立する実践ガイド)」カロリン・フランケンバーガー (著), ハナ・メイヤー (著), アンドレアス・ライター (著), マーカス・シュミット (著)を紹介します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)ナビゲーター コア事業の「強化」と「破壊」を両立する実践ガイド

概要

多くの企業が成功の糸口を見つけられずにいるデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)、その成功率はたったの16%だと言われています。DXを成功させるには、既存事業の「強化」と「破壊」を同時並行で両立する必要があり、この2つを取り持つ「ジレンマ」に対して企業、経営者がどう向き合うべきか、そのWhy、What、How、そしてWhereを論じた一冊です。

【本書の目次(本書より引用)】

●Part 1 WHY TO ACT なぜ行動するのか?
・Chapter 1 行動か倒産か、決断のときがきた

●Part 2 WHAT TO DO 何をするのか?
・Chapter 2 戦略、ビジネスモデル、各種デジタル施策の対立を止め、結束させる方法

●Part 3 HOW TO DO IT どのように実現するのか?
・Chapter 3 組織:柔軟な組織を構築するには?
・Chapter 4 テクノロジー:変革の推進力としてテクノロジーを活用するには?
・Chapter 5 プロセス:どのように目的を達成するか?
・Chapter 6 リーダーシップ:何をリーダーに求め、どのようにリーダーを探すか?
・Chapter 7 人材:何を人材に求め、未来の戦力をどう構築するか?
・Chapter 8 文化:どのように組織を活気づけ、団結を促進するか?

●Part 4 WHERE TO SEE RESULTS どこで結果を見るか?
・Chapter 9 楽しむためではなく、結果を求めて実行する

著者

Universität St. Gallen Webより引用】

Karolin Frankenberger is the academic director of the Executive MBA in the Executive School of Management, Technology and Law at the University of St.Gallen as well as director of the Institute of Management and Strategy in the School of Management at the University of St.Gallen.  Prior to this, she was an assistant professor at both the University of Lucerne and the University of St.Gallen. Before her academic career, she worked as a consultant for McKinsey & Company.

In 2004, she received a PhD from the Institute of Management, University of St.Gallen, Switzerland, and was a visiting researcher at Harvard Business School and the School of Business at the University of Connecticut.

Her research focuses on business models, (digital) business transformation and sustainability. Her book, The Business Model Navigator has been translated into several languages and is considered a standard reference in business model innovation literature.

私の学び

【本書より引用】

・中核事業の強化(S1曲線)と未来事業の創造(S2曲線)を同時に動かし、両曲線の推進組織が保有するリソース、チャネル、学びを相互に共有し、組織としてバランシングする。「S1曲線」、「S2曲線」、「二つの曲線の融合」の3つに同時に取り組むということである。

・DXのジレンマに対して、Why(二つの曲線の推進と融合になぜ取り組むのか)、What(戦略的な目標はなにか)、How(どのように実現するのか)、Where(どのように結果を測定するのか)のフレームワーク

・Howのフレームワークにおいては「組織」「テクノロジー」「プロセス」「リーダーシップ」「人材」「文化」の6 軸で整理。

・「S1曲線」、「S2曲線」は各々異なる評価軸で進められるべき要素であり、同じ軸で最初から評価されるべき事業ではない。定量的評価(投資対効果など)と定性的評価(顧客への提供価値、社会課題など)を組み合わせること、またS2曲線の事業はどのタイミングから定性的評価に切り替えてゆくか、といった時間軸で評価をしてゆくことが重要である。

DXをいざ進めようと考えたときに、ベンチャー型ではない企業が陥りやすい課題の本質をシンプルに捉えているなと感じます。書籍を読むだけで使いこなすレベルにまで到達するのは難しいかもしれませんが、こんなことを考えるところから始める必要があるんだ、と理解することが最初の一歩として重要だと思います。