スズキ図書館

最近読んだ本の内容を紹介する書評ブログです。ビジネス書が中心です。これから皆様が読む本を選ぶ際の参考になれば幸いです。

【書評】『THE MODEL-マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス-』福田康隆 (著)

こんばんは、スズキです。
今日は『THE MODEL-マーケティングインサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス-』福田康隆 (著)を紹介します。

概要

 ビジネスにおいて重要なのは「再現性」です。AmazonSalesforceといった成功したSaaS企業の完成されたモデルの模倣ではなく、そのモデルを作り上げたプロセスを身に付けることで、条件や環境の変化に対しても自ら対応してゆく、つまり再現することができます。

 本書では、著者が渡り歩いたオラクル、セールスフォースといったSaaS企業で「マーケティングインサイドセールス・営業・カスタマーサクセス」がどのように形作られていったかのプロセスを紹介しながら、これら4つの部門が「分業」ではなく「共業」をめざすことが重要であると論じています。SaaS企業の成長戦略、部門間の協業の在り方について関心のある方にお勧めの一冊です。

著者

Amazonより引用】
・福田康隆。株式会社マルケト代表取締役社長アジア太平洋日本地域担当プレジデント。1972年生まれ。早稲田大学卒業。ハーバード・ビジネススクールGeneral Management Programを修了。1996年に日本オラクルに入社し、セールスコンサルタントとして勤務。2001年に米オラクル本社に出向。2004年米セールスフォース・ドットコムに転職し日本市場におけるオペレーションを担当。翌年、同社日本法人に着任。以後9年間にわたり、専務執行役員兼シニアバイスプレジデントとして日本市場における成長を牽引してきた。2014年6月マルケト入社と同時に代表取締役社長に着任し、2017年10月には株式会社マルケト代表取締役社長アジア太平洋日本地域担当プレジデントに就任。創業3年目でベストカンパニー受賞、小規模部門で1位入賞。アレン・マイナー氏が会長を務めるJAPAN CLOUDのアドバイザー、ユーザベース「SPEEDA」事業マネジメント・アドバイザーをはじめ、SaaS領域のスタートアップのメンター、アドバイザーとしても活躍中。

私の学び

 組織は大きくなるほど機能別にグループ化され、分業が進んでゆきます。分業が業務の専任化を進め効率化をもたらす一方で、副作用としてグループが分けられたことで対立が生まれやすくなります。

 企業の顧客獲得のフェーズに関与するマーケティングインサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの4部門が、これからの時代にどのように協業をめざすべきか、協力せざるを得ない目標を立てること、またプロセスを逆流する情報の流れがそのヒントになるように感じました。

【本書より引用】
・測定できないものは管理できない。分業体制のメリットは、最終的な売り上げだけを見るのではなく、各プロセスを担う部門のパフォーマンスを評価する中間目標を設定し、どこがボトルネックなのかを把握し、すぐに対策が打てるということにある。


・協力せざるを得ない目標を与えよ。会社には利益、キャッシュフロー、株価など追い求める指標がいくつかある。しかしすべての始まりは売上である。必要なのは逆の流れを作ること。カスタマーサクセスは顧客と接する中で、何に困ることが多いのかを研究し、製品開発やマーケティングメッセージに反映する。


・その目標を達成するためのハードルとなることがビジネスイシューである。プロブレムは、現場の担当者が日々の業務で問題に感じていることだ。これを解決する手段がソリューションで、自社の製品・サービスが提供する機能が該当する。ベネフィットは投資対効果で、定量・定性の両方を含む。


・これからは新規契約を獲得するという仕事の重要性は薄れていき、中長期的に利用・拡大につなげられる能力を持った人材が中核的な存在としてますます必要とされる時代になるだろう。